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はじめに

「輸血にともなう慢性鉄過剰症」とは…?
鉄過剰症は、繰り返しの赤血球輸血にともない引き起こされる合併症です。
鉄過剰症は、再生不良性貧血や骨髄異形成症候群などの難治性貧血の治療のために輸血を受けている方にとって避けられない副作用です。
特有の自覚症状が無いまま進行するため、放置しておくと肝障害や心不全などの臓器障害を引き起こす危険性があります。
しかし、適切な治療を受けることで、このような臓器障害の
危険性を減らすことができます。

はじめに_f0191045_15304133.jpg

  # by TETSUNOKO | 2008-09-27 14:59

1.どうして鉄過剰症になるの?

輸血にともなう慢性鉄過剰症は、赤血球輸血で鉄が過剰に体に取り込まれることによって起こります。

ヒトは鉄を積極的に体の外に排出することができません。
体内には通常3~4gの鉄が存在します。毎日の食事から新たに吸収される鉄は平均1mg。それとほぼ同じ量の鉄が体外に排出されており、体の中で使われている鉄の大部分は、体内での再利用によってまかなわれています。ヒトの体は鉄を体外に排出するはたらきが非常に弱く、鉄分を摂りすぎた時でも鉄の排出量を増やすことができません。

輸血を必要とする主な病気
再生不良性貧血免疫的な異常により骨髄のはたらきが低下し、血液中の白血球、赤血球、血小板のすべてが減少する疾患です。

骨髄異形成症候群

骨髄のがんの一種で、白血病と再生不良性貧血の中間に位置する疾患です。年4%前後が白血病に進行します。血液中の芽球(白血病細胞)の割合に応じて、疾患の重篤度が「低リスク」~「高リスク」に分類されます。

長い間輸血を受けると
長期の輸血により体内に鉄が必要以上に取り込まれます。
1単位の輸血を受けた場合、約100mgの鉄が体に取り込まれます。しかし、体には鉄を積極的に排出する仕組みがありません。そのため、輸血に含まれる鉄は、ゆっくりと、しかし確実に体の中にたまり、肝臓などの臓器に沈着するようになります。こうして体内に鉄が過剰にたまってしまった状態を鉄過剰症と言います。
1.どうして鉄過剰症になるの?_f0191045_1562267.jpg

  # by TETSUNOKO | 2008-09-26 15:09

2.鉄過剰症になると、どうなるの?

肝障害や心不全などを発症する危険性が高まります。

鉄は多すぎても少なすぎても、体には問題です!

鉄は不足すると貧血や筋肉の障害を引き起こします。しかし、逆に過剰になると細胞に悪影響をもたらす活性酸素種の生成を促進し、肝臓、心臓、内分泌器官などの働きを低下させます。さらに鉄がたまり続けると、肝障害や心不全など、命にかかわる病気を発症する可能性があります。

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  # by TETSUNOKO | 2008-09-25 15:13

3.鉄過剰症はどのように診断されるの?

血清フェリチンの値が500ng/mL以上になると鉄過剰症と診断され、1,000ng/mLを超えると治療の開始の目安になります。

血清フェリチンの値=体内の鉄量の目安

血清フェリチンの値が1,000ng/mLを超えると、肝機能をはじめ、さまざまな臓器障害が現れ始めることが、複数の研究から明らかになっています。また、輸血が40単位を超えた場合にも、肝臓、心臓、膵臓などで臓器障害が生じる可能性が高くなります。
しかし、血清フェリチンの値は、炎症や腫瘍など、輸血以外の理由で高い値を示すことがあるため、慢性鉄過剰症の診断は、血清フェリチンの値と今までに受けた輸血の単位数によって総合的に診断されます。

鉄過剰症の診断は…
1)これまで赤血球輸血をどのくらい受けたか
2)現在、体内にたまっている鉄量はどのくらいかの2点に基づいて行われます。

これまでの研究から
1)総赤血球輸血量40単位以上
2)血清フェリチン1,000ng/mL以上
で肝障害や心不全などの危険性が高まることが明らかになっています。
3.鉄過剰症はどのように診断されるの?_f0191045_15182998.jpg

  # by TETSUNOKO | 2008-09-24 15:19

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